毎年4月にイタリア・ミラノで開催されるミラノサローネ国際家具見本市。MAGISは例年同様、ヨーロッパの主要ブランドの集まるフィエラ本会場ホール20に出展し、今年も多くの新作のラインナップが発表されました。会場の模様とともに新作情報をお伝えいたします。
マジス設立40周年となるアニバーサリーイヤーのミラノサローネ
今年のマジスブースはアニバーサリーということもあり、たくさんの人が中心に集えるようにフロア中央に広いスペースを設けた構成で、中心には新作のOfficinaのキャンドルスタンド「Albero Officina」が、メモリアルツリーが聳え立つかのように設置されました。
中央の壁には40周年を記念して作られた巨大なMAGISロゴが掲げられ、会期中このロゴ前では多くのデザイナーのインタヴュー撮影などが行われるとともに、来場者の撮影スポット的な場所としても盛り上がっていました。
展示は2部構成で、まず目を引くのが会場正面の大きな階段状のステージです。今までにマジスで発表された名作から最新作までを展開し、マジスの豊富なラインナップと多種多様なデザインが一望できるような構成となっています。
もう一つの構成は、会場入り口両サイドに設けられた2つのフラットなステージ。新しくシリーズ展開が始まる「BRUT」と「HAPPY ENDINGS」という2つの新作シリーズが展示されました。アニバーサリーイヤーに相応しい広がりをもった空間に、今年も多くの来場者とデザイナーがブースを訪れました。
2016年の新作発表
2016年に新たに発表された商品を全てご紹介いたします。今年も例年通り、コンスタンチン・グルチッチ、ロナン&エルワン・ブルレック、ハイメ・アジョン、フィリップ・スタルクを始め、世界の第一線で活躍するマジスではおなじみのデザイナーが新しい作品を発表しました。
特に今年は新しく2つの家具シリーズも発表され、華やかな新作ラインナップとなっています。
Ettore / Konstantin Grcic
まずはマジス40周年を記念して作られたオブジェ「Ettore」。グルチッチによるデザインで、マジスのブランドアイコンとなっている《ミュール》がモチーフとなっています。素材はマジスが新たに着目した鉄の鋳物で、地道に働くミュールとこの鉄鋳の強固なイメージがマッチした作品で、ブックスタンドやドアストッパーにも使えるアイテム。名前の由来は神話に登場するヒーローの名から。
BRUT / Konstantin Grcic
こちらもマジスが新たに着目した技術である鋳物を採用した新シリーズ。今年ブースで最も注目を浴びたテーブルシリーズです。無垢の鉄鋳は重く強固で、古くはビクトリア朝のガーデン家具にも使われていた古典的な素材。最近ではマンホールの蓋や道具のパーツ、建材などに使われることが多いですが、この鋳物を使って最も美しいディテールをもつ家具を作りたいというマジスの想いからプロジェクトがスタートしました。
「BRUT」はもともと“未処理、荒さを残した”という意味をもっていますが、スパークリングワインにもその名が使われている通り“洗練された甘さとスカッとする爽快感”という意味も兼ね備えています。コレクションは大きなレクタンギュラーダイニングテーブル、高さ調節が可能な作業台としても使用可能なテーブル、ラウンドテーブル、ビストロテーブル、また木製の座面を持つベンチで展開予定。
Happy Endings / Jerszy Seymour
「Bureau for the Study of Vivid Blue Every-Colour Inhabitations of the Planet, the Transformation of Reality, and a Multitude of Happy Endings」 という長いタイトルで発表されたジャージー・セイモアの屋外用家具シリーズ。このタイトルはもともとあったポエムから言葉を抜粋しもの。商品名は「Happy Endings」になる予定。オフィスでも倉庫でも家でも木陰でも山の上でも、あらゆる場所で働ける環境を作るというコンセプトをもったユニークなシリーズで、惑星をイメージした意匠になっています。軽量のアルミで形成されており、ジョイントの溶接は特殊な型を使用して作られています。
Officina / Ronan & Erwan Bouroullec
3年前からのプロジェクトである「Officina」に新ラインナップが登場。テーブル、チェア、スツールに続き今年はインテリアアクセサリーが加わりました。豊富なサイズ展開のキャンドルスタンドをはじめ、ミラーやコートスタンドなど錬鉄の構造や魅力がより伝わるアイテムです。画像のラウンジチェアは現在試作中。
Milà / Jaime Hayon
昨年のミラノサローネで発表された「Milà」は発売が開始し、全カラーが展示され、新しくファブリックシーツ付きのタイプが登場しました。デザイナーであるハイメ・アジョンの出身地スペインのカタロニアの文化を意識したしなやかでダイナミックなデザインに仕上げられ、ハイメにとってもはじめての一体型樹脂となるチェアです。マジスの得意とする樹脂一体成型でエアモールディング製法を採用したチェアで、布のような触り心地を目指し表面に特殊なコーティングが施してあります。ファブリックシートタイプは年内中の発売予定です。
STANLEY / Philippe Starck
こちらも同じく昨年のサローネで発表されたフィリップ・スタルクによるデザインの「STANLEY」。タイムレスなデザインのディレクターズチェアにマジスの技術力を融合。ワンアクションで容易に畳むことができます。映画監督のスタンリー・キューブリックから命名。
Little Big / BIG-GAME
キッズラインのMe tooシリーズからは、マジスと初のコラボとなるスイスのデザインユニットBIG-GAME(ビッグゲーム)が、3段階に高さ調節可能なキッズチェア「Little Big」を発表。大人のための椅子と同様に子供のための椅子にもハイクオリティを求めて開発されたチェアです。
FISH / Benedetta Mori Ubaldini
ステージの上に浮かぶ赤い魚のオブジェは、ベネディータ・モリ・ウバルディーによるメタルワイヤーシリーズの新作です。浮遊感をもった象徴として、水の中で泳ぐ魚がモチーフになったもので、オブジェやモビールとして部屋に動きとアクセントを与えるアイテムです。
このようなラインナップで、今年も多くの新作が発表となりました。会場ではデザイナーがそれぞれの作品の前でインタヴューや撮影を行っており、ブースの雰囲気を盛り上げていました。
ミラノサローネ初日の夜は、ミラノ市内のCorso Garibaldiにあるマジスミラノショールームで40周年を祝うパーティが模様されました。ショールームには開催前の時間から錚々たるデザイナーの面々が集まり、和やかな雰囲気で交流している様子も見受けられました。時間とともに溢れかえる会場では日本からのお客様も多く、深夜まで盛り上がった40周年パーティでした。